リーマン曲率テンソル
2 階のテンソルの共変微分は, たとえば次のようになるらしい.
これは定義なのか定理なのか.
ベクトルの共変微分の定義と矛盾なく定義されたものなのか, ベクトルの共変微分から導かれるものなのか.
はたまた, より根本的な原理からベクトルも含めたテンソルの共変微分が導かれるのか.
リーマン幾何学を勉強したい.
は, 2 階の共変テンソルで, とでもかくことができるものらしい.
これはきっと証明できるのだろう.
これらのことからリーマン曲率テンソルを導くのが今日のテーマ.
(第 3 項と第 6 項をまとめた)
( を に置き換えた)
この第 1 項と 2 行目と 4 行目は , について対称であるから
となる.
この右辺を
とかき,
を, リーマン曲率テンソルとよぶ.
これからリッチテンソルやスカラー曲率が出てくる.
ちなみに, 平行移動の概念を使ってもリーマン曲率テンソルを導くことができるが, そちらはやっていることは本質的には同じことで, おまけに 2 次以上の微小量は無視するという私の美的感覚にはそぐわないことをしているので, ここでは取り上げなかった.
接続係数は 0 にできる
任意の点 P において, 座標変換を適当に選べば, 接続係数を 0 にすることができるという話.
であるから, 点 P における接続係数の値
が
に P の座標を代入した値
に等しくなるような をとることができれば,
となる.
ここから直ちに
を導くことはできないが, 後で示すように P を原点でないように平行移動することができるので, 結局は
となることが分かる.
点 P の座標を または で表すと
となるような をとればよい.
ここで, 例えば などは などとは書けないことには注意を要する.
というのも, 変換が線形であるとは限らないからである.
と思ったけれども, 上の変換は線形だからいいのか?
ん?どうなの?
とにかく,
より
また,
より
これらを代入すれば確かに
となることが分かる.
ちなみに
は
( は任意のベクトル)
としても同じことがいえるので, を原点でないように平行移動することができることも分かる.
第 2 種クリストッフェル記号の変換則
と
より
第 1 種クリストッフェル記号の変換則
これを とおく.
これを とおく.
と についても同様.
と についても同様で, まとめると
,
,
という形をしていることが分かる.
ただし, 1 つ目の と 2 つ目の が等しいことをいうために, であることを使う.
よって,
であることよ.
と についても同様に計算できるが, その際, , , は全くの任意であったので, 適当に入れ替えて同じ形をつくってみると
となる.
よって,
となるのよね.
以上により
だ!!!
計量条件
「時空と重力(藤井保憲著)」の 99 ページに計量条件
の証明が載っていたが, 途中式が省略されている箇所があり, 自分で計算してみたところ, よく分からなくなって 3 日くらい考えた.
今日になってやっとできた.
意外と簡単だった.
以下, メモ.
まず,
を示しておく.
実は 97 ページに簡単な証明が載っていたのだが, 見落としていた.
自分でやったやり方 (本質的には同じ).
偏微分についてのライプニッツの法則 (積の偏微分の公式) を使い,
最初の式と最後の式を比べると, の形をしているので, .
よって示された.
さて, 共変ベクトルの共変微分は定義により
両辺に をかけて
(偏微分についてのライプニッツの法則)
この第二項について
(最初に証明したこと)
( を に置き換えた)
以上により
(反変ベクトルの共変微分)
(共変微分についてのライプニッツの法則 (要証明))
すなわち
したがって
ゆえに
というわけでした!!!!
ちなみに, 計量条件を直接導くもっと簡単なやり方は
EMAN さんのサイト
EMANの物理学・相対性理論・テンソルの共変微分
にあります.
いつも参考にさせていただいています.
気になる点.
面倒な計算によって計量条件が成り立つことが示されたわけだが, 実はこれは必然なのではないか.
つまり, 背後にしっかりとした数学的な根拠があって, そこからほぼ自動的に結論付けられるのではないか.
Wikipedia には共変微分とはある 4 つの条件を満たす写像のことだと書かれてあるが, 別のある条件を満たしていれば, この 4 条件も満たされるという定理があって, 一般相対性理論で定義されるところの共変微分がそのある条件を満たしているのではないか.
リーマン幾何学をちゃんと勉強したい.
共変微分(定義の必然性が分からない)
共変微分の定義の必然性が分からない.
したがって, 重力場の方程式が共変微分を使うと上手く定義できる理由もよく分からない(テンソルになるためというのは分かる).
今日は, 「相対性理論(内山龍雄著)」の導入部を確認してみる.
Riemann 空間で平行概念を定義して, そこから共変微分を考えるという流れ.
平行移動する前と後でのベクトルの差を次のように定義する.
… (1)
ここで を辻褄が合うように調整して, その -1 倍を接続係数 として定義し, 共変微分に繋げている.
その辺りの話はとりあえずおいておくことにして, (1) の右辺のような形が出てくることの必然性が分からないでいる.
アインシュタインの縮約を使っているようなので, 丁寧に書くと
…で, 合っているだろうか?
こうしてみると, 各 について が () の線形結合で表され, それらがさらに線形結合で結びついているようだ.
反変ベクトルの共変微分
「時空と重力(藤井保憲著)」を元に, 共変微分の式を導出してみる.
x 座標系から x' 座標系への変換を考える.
それぞれの計量を , とする.
x 座標系でのベクトル場では, どの位置にあってもベクトルは定数で表されるものとし, それを とする.
x' 座標系でのそれは である.
今,
より
となって, 元の座標系で定数であるベクトルも, 変換先の座標系ではその偏微分は 0 とならない.
さて, これが
に等しいことを証明したい.
というより, の線形結合で表したときに, それらの係数を接続係数と呼ぶことにしようという魂胆なのである.
である.
本にあったのと計算のやり方というか順序というか, ちょっと違う.
あと, 本では X 座標系から x 座標系への変換だった.
ともあれ, これで式を簡単に表すことができるようになった.
定数ベクトルではない一般のベクトルに対しては
となる.
x' 座標系から x 座標系への変換ならば
である.
したがって, 少し計算すれば分かるはずなのだが, 偏微分の結果はテンソルとはならない.
しかし, 偏微分の定義をちょっと変えて共変微分というものをつくり, その結果はテンソルにしたいし, 定数ベクトルを共変微分すると 0 になるようにしたい.
そのためには, 偏微分から の項を引いてやればよいのである(証明略).
というわけで 共変微分を次で定義する.
ここで, は の略である.
ここまでの考え方の問題は, 接続係数 の定義の中に x' 座標が入っているところである.
本来, 接続係数は他の座標とは関係なしに定まるべきものだからだ.
この点, 「相対性理論(内山龍雄著)」ではベクトルの「平行移動」の概念が満たすべき事柄から接続係数を導いている.
その際, ベクトルの大きさが平行移動に対して不変であるべきという要請を使っている.
対して, 「時空と重力(藤井保憲著)」では, 上の計算の中にあるように接続係数を定義した上で, ベクトルの大きさが平行移動に対して不変であることを性質として導いている.
定義と性質は実は同値であるということが数学の世界ではままあるが, この接続係数とやらも同値な定義がいくつか存在するようだ.